2025/08/21 00:00
「贅沢」とは、何を指すのでしょうか?
高級レストランの食事、ブランドの衣服、あるいは旅先での特別な体験――どれも確かに魅力的です。
しかし、物価が上がり続けるいま、日常の中で上質さを感じる方法を改めて見つめ直す人が増えています。その答えの一つが、実はウイスキーにあるのです。

ウイスキーは、一見すると高価なお酒に見えます。長期熟成のシングルモルトや限定ボトルとなれば、確かに数万円を超えるものも少なくありません。けれど、その一滴に込められた満足感と持続性を考えれば、むしろ「最もコストパフォーマンスに優れた贅沢」と言えるでしょう。
たとえば、1本7,000円のボトルを想像してみてください。ハイボール1杯に使うウイスキーはおよそ30ml。700mlのボトルなら約23杯分となります。単純計算で1杯あたりのコストは約300円。
つまり、缶ビール1本とほぼ同じ価格で、はるかに豊かな香りと味わいを楽しめるのです。
さらに、ウイスキーは開栓後も品質を長く保てます。日本酒やワインのように数日で風味が変わることもなく、適切に保管すれば数か月、時には一年以上も楽しめる。
日々の気分や季節に合わせて、ソーダで割り爽やかなハイボールに、氷を浮かべて静かにロックで、あるいは香りを堪能するストレートで―― 1本のボトルが、まるで小さな旅のように多彩な表情を見せてくれます。

また、ウイスキーは単なる飲み物ではなく、“時間を味わう芸術”でもあります。蒸留から熟成まで、何十年もの歳月を経てようやく完成するその一滴には、職人の技と自然の恵みが凝縮されています。
グラスを傾けた瞬間に立ちのぼる香り、舌の上で広がる余韻。そこには、喧騒を離れ、自分だけの静かな時間を取り戻す力があるのです。
物価高の時代だからこそ、本当に価値のあるものを見極める力が求められます。
量ではなく質、派手さではなく深み。
ウイスキーは、そんな“成熟した贅沢”を象徴する存在です。次に酒棚の前に立ったとき、その一本がもたらす豊かさを、どうか思い出してみてください。
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